「環境もあると思いますよ。監督、コーチも含めて長所を伸ばしてあげようって考えていると思うんで、そういう方針とマッチしている選手じゃないですか。ほかのチームに行ったら、ここまでの選手になっていたかどうかは分からないですからね。球場もバッター有利だし、そういうものも含めていろんなものがプラスに働いて、素質がドンドン開花してると思います」

 そのオフ、山田は背番号をそれまでの「23」から、若松勉、池山隆寛(現ヤクルト2軍監督)、岩村明憲(現BCリーグ福島代表兼監督)、そして青木(当時マリナーズ)が背負うなど、「ミスター・スワローズ」の番号とされていた「1」に変更。「(ミスター・スワローズと)認めてもらえるように頑張りたいですね」と気を引き締めた。

 新たに背負ったミスター・スワローズの番号で、山田は2016、2018年にも打率3割・30本塁打、30盗塁をクリア。比較できるものではないが、落合の三冠王3回がNPB唯一なら、山田のトリプルスリー3回も日本ではただ1人である。

 2019年は打率3割こそ逃したものの、自身4度目の30本塁打&30盗塁をマークし、オフの契約更改では外国人選手を含めても球団史上最高の年俸5億円(推定)に到達。その際、球団からの複数年契約提示を見送り「FA宣言するかもしれないし、しないかもしれない。それは決めてはいない」と話したことから、今年になって初の国内FA権を取得した山田の去就は、大きな注目を浴びることになる。

 巨人など他球団への移籍の可能性も、メディアでは頻繁に取りざたされた。しかし、FA選手公示から2日後の11月19日、ヤクルトは山田との契約合意を発表。併せて「正直に今までで一番悩みましたが、FA権を行使せずに残留することにしました。さらに活躍できるように努力したいと思います」という本人のコメントも発表された。

 契約年数は公表されなかったが、報道によると7年。山田は現在28歳であり、契約が満了する頃には35歳のベテランになっている。言ってみれば「生涯ヤクルト」を宣言したようなものだ。

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残留の理由はやっぱり“チーム愛”?