この日、「SMBC日本シリーズ2020」(日本テレビ系)で解説を務めていた元巨人監督の高橋由伸氏も「あのボール球をヒットにするのは難しい。もう少し(狙い球を)絞って打ちにいかなくてはいけない。我慢しなくてはいけないボールだった」と丸のバッティングに苦言を呈した。

 ちなみに丸は、日本シリーズに過去3度(2016、2018、2019年)出場している。広島時代の2016年こそ打率.333の数字を残してはいるが、2018年は25打数4安打の打率.160、巨人に移籍した2019年に至っては13打数1安打で打率.077と1割にも満たない数字となっている。しかも、成績のおもわしくない2018年と2019年の対戦チームは、どちらもソフトバンクだ。

 丸はこれでソフトバンクとは真逆の日本シリーズ9連敗となった。この数字が積みあがったのは決して丸1人のせいではないが、これだけ日本シリーズに出場していながらもまだ一度も日本一になれていないことで少し肩に力が入りすぎているような印象も受ける。

 ソフトバンクの工藤公康監督は、日本シリーズの戦いについて「打てない選手を打てないまま終わらせるのが重要」という趣旨の発言をしている。だとしたら、丸は、この術中にまんまとハマっているということになる。

 もちろん、巨人打線で打てていないのは丸だけではない。昨年の日本シリーズは坂本も打率.077、岡本も打率.188と完璧に抑え込まれた。逆に、ソフトバンクはグラシアルが16打数6安打3本塁打、打率375の活躍を見せ、日本シリーズMVPにも輝いている。

 やはり打線の中軸を担う坂本、岡本、丸の3人が抑え込まれると、1番・吉川尚輝、2番・松原聖弥がいくら出塁したとしても、得点に結びつかせるのは難しい。

 本日行われる注目の第2戦には、巨人・今村信貴、ソフトバンク・石川柊太が先発予定だ。巨人は、日本シリーズの連敗を止めることができるのか。もしくは、ソフトバンクに連勝記録をプレゼントしてしまうのか。巨人打線の復調に注目したい。(文/AERA dot.編集部・岡本直也)