※写真はイメージです(GettyImages)
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いま求められる高齢者ホームのあり方について語り合った。左からストランデルさん、太田さん、安藤さん(撮影/小黒冴夏・写真部)
いま求められる高齢者ホームのあり方について語り合った。左からストランデルさん、太田さん、安藤さん(撮影/小黒冴夏・写真部)

 日本はあと5年で団塊の世代が後期高齢者に達し、4人に1人が75歳以上となる「超・超高齢社会」を迎える。幸福と感じられる老後のあり方とはどんなものなのか。現在発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム2021」では、日本で介護付き有料老人ホームを運営するスウェーデン人のグスタフ・ストランデルさん、全国の有料老人ホーム・高齢者施設の紹介を中心としたビジネスを展開する安藤滉邦さん、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの鼎談を実施(2020年7月)。2025年問題や高齢者ホームの選び方、理想の老後の在り方など、話題は広く、多岐に及んだ。その中から抜粋する形で「施設の選び方やお金」などをテーマにお届けする。

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太田差惠子さん(以下、太田) 施設選びの失敗例でとてもよくあるのが、夫婦で入れる二人部屋です。子どもはよかれと思って一緒にしがちですが、結局、元気なほうが要介護の配偶者を看ることになり、さらに施設であるがゆえに自宅よりも行動が制限されてしまう。結果、夫婦仲が険悪になって、部屋だけでなくフロアまで分けてもらったという例があります。

安藤滉邦さん(以下、安藤) 私も夫婦部屋を相談されたら、必ず「疲れますよ!」とお伝えしています。奥さんのほうが家の雑事から解放されたいなら、なおさらですね。

グスタフ・ストランデルさん(以下、ストランデル) スウェーデンも昔は大家族で、老人は家族で介護するのが当たり前でした。介護保険の導入で、お嫁さんたちがようやく楽になったのです。今、ご主人だけがここに入居していて、毎日通って1日を過ごしていく奥さんがいらっしゃいますが、本当にいいことだと思います。介護はプロに任せてください。本人や家族が認知症になっても大丈夫、その人らしく暮らすことはできるのです。

安藤 施設選びで難しいのは、ある程度の知識が必要なのに、情報が十分でないことです。例えば介護保険の使い方には2種類あります。必要なサービスを自分でその都度選択するのか、変化する心身状態に合わせてお任せできる包括報酬型にするのかです。元気なうちは前者を、健康に不安があるなら後者を選ぶのがおすすめですが、そうした説明をしてもらう機会はほとんどありません。私にご相談いただければきちんとアドバイスできるのですが。

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