かねてより日本人初のUFC王者となるのが目標と語ってきた海だが、RIZIN王者となって以来よりその発言を前面に出している。海が所属するトライフォース赤坂の堀鉄平代表も赤坂見附に約120坪のメガジム建設を決意し、その夢を後押しする姿勢を見せている。

 海が王座決定戦で破った扇久保は2010年9月以降の10年で、UFCの育成番組『TUF』16人トーナメントを勝ち抜き準優勝(16年)、また公式戦で喫した敗北は堀口との2戦のみ。さらにTUF準決勝では現在UFCフライ級5位にして、12月にケイプと対戦するアレッシャンドリ・パントージャも降している。堀口も18年7月の第2戦では扇久保に判定勝ちで終わっており、こうした状況を並べると、難攻不落の扇久保を粉砕した海の攻撃力、そして得意の寝技に持ち込ませなかった防御力が際立ってくる。

 佐々木憂流迦のUFCでの最高位はフライ級13位であり、海が破った中でバンタム級での世界的実績(Bellator王者)を持つ相手となると昨年の堀口になるが、この時は手負いの状態。膝以外の不調もあったため早めの決着を狙ったが、粗い入りとなってしまい、そこにカウンターを合わされたことをインタビューで明かしている。

 だが、19年以降に行った5戦のうち、海は日本人を相手にした4試合ではいずれも1Rで決着をつけており、すでにその実力は国内レベルで収まらなくなっている。現在の海はもはやUFCやBellatorといった海外強豪が相手でなければ勝負が成り立たない存在へと成長した。

 コロナ禍の現在、外国人選手の出場は依然困難だが、日本人ファイターとして海外強豪と同等の実力を有するのが堀口(海外を練習拠点としており、やはり入国の困難はつきまとうのだが)。しかし、手術と1年4カ月実戦を離れた後での復帰戦であり、復調ぶりや勘の衰えがないかは未知数だ。師である山本“KID”徳郁も負った右膝前十字靭帯断裂を乗り越えることはできるか。

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大晦日の堀口戦に勝利すれば…