「投手起用に関しては、あらかじめ決心したことを貫く。例えば菅野智之という大エース以外にも、柱になれる先発投手を揃える必要性があると言われている。確かに計算できる先発投手が揃えば戦い方も明確になる。しかし原監督の考えは別にあり、4~6回という、試合中盤に登板する投手を先に考える。先発投手が打たれて、試合が壊れそうな時にいかに我慢して負けない試合にするかを重要視した。試合中の決断も凄くて、『3回くらいで変えようよ』という話が初回からどんどん出てきた。菅野が先発の時は1試合任せる気持ちだろうが、その他の場合は常に次の投手を考えているはず」

 先発投手が6回前後までリードを保った投球ができれば、後はブルペン陣に任せることができる。どのチームも7~9回の試合終盤を任せるセットアッパーやクローザーには、安定感ある投手が控えている。『勝利の方程式』と呼ばれるものだ。リードした展開で彼らが出てくれば、得点を相手に与える可能性は極端に低くなる。そうでない時にこそ指揮官の真価が問われる。

「前半で点差がついた時が大事。そういう展開でも試合を壊さず可能性を持った状態で戦えるか。諦めそうな負け試合を引き分けにできれば、それは勝ちに等しい。上位争いするチームは負け数が少なく引き分けも多い。その辺の考え方がはっきりしていて、『第2先発』の重要性を早い段階から言っていた。これは本拠地が東京ドームの影響もあり、5点前後のビハインドなら諦める必要はない。走者をためて本塁打という展開があるので、それ以上の点差に離されないことが大事」

「昨年で言うとキーマンは田口麗斗だった。先発経験も豊富で登板数が多くてもへばらないスタミナもある。左腕ということもあり使い勝手も広がった。先発ならば年間フル稼働しても25試合前後しか登板できないが、中継ぎならその倍は投げられる(19年は55試合登板で先発2試合)。短い回なら簡単に打たれる投手ではないので、抑えている中盤に可能な限り点差を詰めておけばチームも追いつく可能性が高くなる。逆転できればこれ以上のことはない。加えて実績あるベテラン大竹寛が復活を果たしたのは嬉しい誤算だった」
 

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積極的な補強も目立った今年