多くのマンションで積立金が不足しているという※写真はイメージです((c)Getty Images)
多くのマンションで積立金が不足しているという※写真はイメージです((c)Getty Images)
(図表A)住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」の概要(住宅金融支援機構のホームページをから作成)
(図表A)住宅金融支援機構「マンションすまい・る債」の概要(住宅金融支援機構のホームページをから作成)
(図表B)住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」の概要
(図表B)住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」の概要

 区分所有者の高齢化が進むと、積立金の増額や一時金の徴収は困難になることも。長期修繕計画と資金計画は早い段階での見直しが必要だ。組合の理事に選任されて困っている人や、運営に頭を悩ませている人の悩みに応える「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。

【図】「マンション共用部分リフォーム融資」の概要はこちら

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 大規模修繕工事にかかる費用はマンションの戸数などの規模、築年数、共用施設の多少などによって違います。

 国土交通省が2018年に公表した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、工事にかかるお金は1回、1戸あたり約100万円です。 このほかに給排水設備改修工事、建具交換工事、電気・通信設備工事、エレベーター改修工事、旧耐震マンションでは耐震改修工事などの費用が長期修繕計画に見込まれます。

 国土交通省が5年ごとに行っているマンション総合調査の結果によると、18年度の修繕のための積立金は、1戸あたり平均月額1万1243円です。

 この平均月額が高いか安いかは一概にはいえません。長期修繕計画の設定期間の多くが一般的な周期である25~30年です。

 しかし、修繕積立金の額は、そのマンションの将来目標の設定の仕方や特徴(付帯設備、使われている材料、過去の改修工事の内容など)によりかなり変動します。

 一般的にいわれている修繕積立金と自分たちの積立金の額を単純に比較することは、あまりお勧めできません。

■多くのマンションで積立金が不足している

 築年数が経過し大規模修繕工事を経験したマンションは、工事に必要な資金について理解が深くなりますから、積立額が増える傾向があります。

 それでも多くのマンションが長期修繕計画に比べ積立金が不足しています。

 マンション総合調査によると、現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションが34.8%、そのうち積立額が20%超不足しているマンションが15.5%あります。

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