外壁仕上げ塗材は、工事でドリルなどを使用した際などに飛散する可能性があるとされる※写真はイメージです((c)Getty Images)
外壁仕上げ塗材は、工事でドリルなどを使用した際などに飛散する可能性があるとされる※写真はイメージです((c)Getty Images)
(図表A)アスベスト規制に関わる規制のおもな流れ(国土交通省「民間建築物におけるアスベスト対策の経緯とこれまでの取組み」などから作成)
(図表A)アスベスト規制に関わる規制のおもな流れ(国土交通省「民間建築物におけるアスベスト対策の経緯とこれまでの取組み」などから作成)

 かつては「夢の建材」といわれたアスベストが、発がん性により段階的に使用禁止に。使用した可能性のあるマンションは? 組合の理事に選任されて困っている人や、運営に頭を悩ませている人の悩みに応える「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。

【図】アスベスト規制に関わる規制のおもな流れはこちら

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 マンションの大規模修繕工事に関して、2016年にマンションの外壁仕上げ塗材にアスベスト(石綿)が含まれている可能性があることが公表されました。

 石綿は健康被害を引き起こす問題があるとして1975年から規制されており、当初は石綿含有率5%を超える吹き付け使用が禁止されていましたが、95年に1%を超えるもの、2006年に0.1%を超えるものが規制され、その対応が強化されてきました(図表A)。

 材料メーカーにおいてもそれに対応してきましたが、この06年以前のマンションの外壁仕上げ塗材には0.1%を超える塗装材が使用されている可能性があるため、修繕工事などでの対応が求められています。

 一般的な外装材においては、通常の状態では樹脂で固まっているため石綿が飛散するおそれはありません。しかし工事の際に、外壁にドリルなどで穴をあけたり、ひび割れの補修時に外壁を削ったりすることなどにより、飛散する可能性があるとされています。

 ただ、健康被害を引き起こす著しい飛散性があるとされている吹き付け石綿と比べ、塗材の石綿含有率や飛散性には大きな違いがあることは知っておくべきでしょう。

■管理組合の負担低減につながる石綿対応工法

 解体・改修を行おうとする建築物などの石綿含有建材の使用状況については、労働安全衛生法の石綿障害予防規則で事前調査を義務づけていました。

 加えて、14年6月1日の改正大気汚染防止法施行により、大気汚染防止法でも、解体等工事の受注者に対し、事前調査の実施、調査結果の発注者への説明および工事現場への調査結果の掲示が義務づけられています。

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