一方、福島さんは離婚裁判や「慰安婦」裁判に関わる弁護士として土井さんにスカウトされ1998年に参院議員になった。ジェンダー平等政策に真剣に取り組んできた女性リーダーから、直々に政治を学んだのだ。

 2018年、東京医科大学の入試差別問題が発覚したとき、被害者の女性たちと国会議員にロビーイングする機会があった。そのとき最も熱心に被害者と文科省をつないでくれたのが福島さんだった。弱い立場から語り、権力におもねらず、「シスターフッドが大切!」と本気で語る政治家の存在に、どれほど励まされたことだろう。
 
 性差別社会では、女性たちは生き抜くために分断させられ、争わされる。できれば自分以外の女性などいないほうがよいので、女性同士の連帯は難しい。野田さんは出演したラジオで、杉田水脈衆院議員について「勉強不足」「何を言ってるかわからない」など、辛辣にコメントしていた。それは先輩としての温かい叱咤激励というより、本気で杉田議員をバカにしている口ぶりだった。それでも杉田議員の辞職を求める市民の声は完全拒否。いったい誰の顔を見ているのだろう。それが紅一点であるための戦略であることも含めて、この国を生きる女性としては見たくないものを見せられている気分になる。

 男性に選ばれた少数の女性しかトップに立てない世界では、いつまでも女性が女性を排除する駒でいるだろう。2030年までに女性が決定権ある立場に50%いることを目指すのが、国際社会の方向だ。女性がリーダーであることが当たり前の社会を世界がつくろうとしている中で、日本のジェンダーギャップ指数の順位を下げ続けているのは永田町にほかならない。

 福島瑞穂と野田聖子。ジェンダー不平等すぎる社会だからこその、この両極端の女性政治家。先進国標準は、いったいどちらだろう。信念を守りジェンダー平等を目指す福島さんの筋がきちんと生きる、そういう政治をみてみたい。

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

著者プロフィールを見る
北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

北原みのりの記事一覧はこちら