何しろ今季開催された12試合中8試合はこれら「3世代」が制しており、ツアーにおけるプレゼンスは圧倒的。今のツアーは、彼女たち無しには語れないのは疑いのないことだ。

 では、実力伯仲している「3世代」の中で、誰が抜け出していくのだろうか。その筆頭候補として挙げられるのは、新世紀世代の笹生だろう。

 笹生は、日本人の父とフィリピン人の母を持ち、8歳からゴルフをスタート。宮里藍さんの活躍を見てゴルフにのめり込み、14歳の時にフィリピン女子ツアーで早くも優勝。15年には国内ツアー出場も果たしている。そして18年にアジア大会の個人と団体で金メダルを獲得。昨年のオーガスタ女子アマでは、安田とともに3位タイとなり、同年のプロテストに合格した。

 コロナ禍でスタートした今季は、開幕のアース・モンダミンカップで5位タイに入ると、NEC軽井沢72ゴルフトーナメントとニトリレディスゴルフトーナメントでいきなり2週連続優勝。TOTOジャパンクラシックでは最終日に63を叩き出し単独2位と驚異の追い上げも見せた。上記でお伝えした通り、こうした活躍によりここまで賞金8,275万3,170円を稼ぎ出し賞金ランクは第1位。2位の小祝に約2,300万円の差をつけており、規格外の強さを見せつけている。

 笹生の武器はなんと言っても「女性版ウッズ」と異名を取るそのパワーだろう。もちろんトレーニングを積み、飛ばすスキルを身につければ飛距離アップは可能だろうが、飛ばせるか飛ばせないかは、もとから備わった天性によるところが大きい。特に体力的に劣る女子選手が飛距離を伸ばすためには大変な労力がかかるが、はなから飛ばす力を持っているという点で、笹生の他選手に対するアドバンテージは非常に大きいだろう。

 笹生のドライバーの飛距離は平均で260ヤードと言われており、ツアーのイーグル数では6個でトップ。師匠のジャンボ尾崎もそのパワーに舌を巻けば、周囲も「スイングが男子プロ並み」と衝撃を受けており、ライバルたちに比べて絶対的に有利であることは間違いないのだ。

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決してパワーだけではない笹生