合格ランキング全体を見てみると、国公立大43校中で首都圏にある高校は7校、私立大の場合は28校もランクインしている。


 
 なかでも豊島岡女子学園は国公立で22位、私立大の合格ランキングだとトップに君臨し、国際医療福祉大に23人、日本医科大に17人、順天堂大と昭和大、東邦大に13人ずつなど、139人が私立大医学部合格を勝ち取った。
 
 東京の女子校としては、桜蔭も医学部進学に強い。20年には、順天堂大に24人、東京慈恵会医科大は20人、慶應義塾大と国際医療福祉大にはそれぞれ17人が合格している。
 
 千葉県内では昨今、千葉大へ14人、東京医科歯科大に4人、私立大は国際医療福祉大に21人、順天堂大へ14人が合格するなど、渋谷教育学園幕張の医学部合格者数が飛躍的に伸びている。
 
【中部】
 国公立大ランキングに、東海、新潟、浜松北、滝、南山、旭丘、藤島、岐阜の8校がランクインした。静岡県立浜松北高等学校 進路指導部長の高林英次先生は、こう話す。

「静岡県は有力な関東、関西地域の大都市圏に比べ、優秀な生徒たちが自然と公立高校に集まる傾向が高いといえます。本校は、医学部受験向けのコースなどは設けていませんが、ひと学年400名の生徒のうち130名ほどが医療系の学部を目指します。学区内に国立大の浜松医科大学があり、自宅から通える医学部として進学率も高いです。地方の場合、一定の社会的地位を満たす仕事として、医師という職業は強い。もしかしたら、地域の風土などが反映されて、医学部を目指す生徒が多いのかもしれません」

 私立の東海、滝、南山は、私立大医学部合格ランキングにも名を連ねている。
 
 男子校である東海は、中部地方一円から優秀な男子生徒を集めているが、南山はカトリック系の中高一貫男女併学校であり、男女別々の校舎でそれぞれの授業が行われるため、実際は男子校+女子校である。

【関西】
 医学部人気が高い関西では、東京大に14人、京都大に24人、大阪大に11人が合格した灘を筆頭に、国公立大トップ10には洛南、四天王寺、東大寺学園、甲陽学院の5校がランクインした。
 
 このうち、中高一貫の女子校である四天王寺は、私立大ランキングでも2位。2014年には医師を目指す生徒のための「医志コース」を中学に設置した。独自の英語教育で学力を伸ばし、四天王寺病院の見学や卒業生でもある医師たちの講演会など、日ごろから医療に触れる機会を設けている。
 
 9位の東大寺学園は、1926年に勤労青少年のために東大寺の僧侶たちが東大寺の境内に夜間学校を開いたのが出発点だ。

【中国・四国】
 国公立大トップ40の6位にランクインした愛光は、70周年の記念事業として現在、新校舎・新キャンパスの建設が進む。21位の広島学院は広島大へ21人、私立大医学部にも30人が合格した。
 
 私立大のランキング35位の岡山白陵は、大阪医科大や川崎医科大ほか私立大医学部に45人が合格した。

【九州・沖縄】
 国公立大トップ40には、久留米大附設、青雲、ラ・サール、本、昭和薬科大附、宮崎西、鶴丸、大分上野丘の8校がランクインした。熊本と宮崎西、鶴丸、大分上野丘は県立高校だが、あとの4校は私立の中高一貫校だ。久留米大附設は九州大へ26人が合格した。
 
 私立大合格ランキングでも8位に入り、寮のあるラ・サールは、全国から成績優秀な生徒が集まることでも知られており、毎年東京大や京都大への合格者を出している。

(文・長谷川拓美/編集部)

※『医学部に入る2021』本誌では、医学部に強い238高校を一覧にして掲載。合格者数は高校への調査による人数。