メジャーでは17年シーズンに25本のホームランを放つなど、通算92本塁打を誇る長距離砲。日本一を掲げた今年、打線の柱として期待されたが、春季キャンプから苦しむ場面も目立った。結局99試合で打率.243、17本塁打、45打点と期待を裏切る結果になってしまった。

「結果が出なくても前向きな姿勢は変わらなかった。コーチや仲間からの助言をもらい、新しいことにも取り組もうとしていた。開幕後に結果が出始めた時期にはチーム内の誰もが喜んだ。ボーアの必死に取り組む姿を知っているから。2軍でも毎日一生懸命やっていた。ハングリー精神など、結果以上にチームへの影響は大きかったのだが……」(阪神球団関係者)

 誰に聞いても良い人だったボーアだが、人望だけでは生き残れない。生え抜き選手ならチーム残留の芽もあったのだろうが、『助っ人』としては決して満足できる結果ではなかったのは事実だ。推定250万ドル(現在のレートで約2億6,000万円)とも言われる高額年俸もネックになった。

「32歳という年齢を考えれば、即戦力で結果を求める。ボーアの打撃をしっかりチェックしていれば、日本への適応に時間がかかることはわかったはず。実力と年俸がマッチしていない印象は強い。代理人にうまく売り込まれたのかもしれない」(国内マネージメント会社関係者)

 米国での実績もあり野球への取り組み方も模範的だ。甲子園の浜風を苦にしない長距離打者は貴重なはず。1年限りでの退団には別要素も絡むという。

「今オフは山田哲人(ヤクルト)など、FA市場に大物がいる。またソフトバンクから自由契約となった内川聖一など、ビッグネームも獲得できる状況になっている。補強資金を捻出する必要があった。福留孝介、能見篤史というベテランが退団することで浮いたお金を合わせれば、かなりの額を回せる。成功するかギャンブル的な要素もある外国人ではなく、お金を費やしてでも国内選手を獲得する方針ですね」(阪神担当記者)

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阪神の次なる補強プランは?