放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、環境意識の高まりから普及し始めた「紙ストロー」について。

【写真】海辺のプラスチックごみ。現状は理解はしているが…

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 水平開きノートって知ってますか?中村印刷所ってところが2014年に販売を開始したノートで。それまでのノートって、真ん中のつなぎ目が膨らみますよね。それを水平にしたノートで、今、とても売れていますが、この存在を知った時に、「こんなこと今まで誰か気づいて、作らなかったのかな?」と思った。多分、「ノートなんてそんなもの」だとみんなが思っていたんだろうと。ノートを水平にすることに本気になる人がいなかったんじゃないかと……。

 年を重ね、50代目前にして色々な気づきがあるが、最近、すごく思うことは、器で飲み物の味が違うということ。ガラス、プラスチック、陶器。さまざまな入れ物があるが、それによって味って変わるんだよなと思うことを強く意識するようになった。

 さまざまな器を集めるのが好きな人に、そのことを言われたのが一番のきっかけだった。そしてお酒をお茶やソーダなどの割りものではなく、ロックで飲むことが多くなったことでより意識するようになった。

 そりゃそうなんですよね。飲み物を飲むときに器を口にすることで、舌も触れるわけです。その器の触感、温度。そして味がするんですよね。ガラスにはガラスの味。陶器の味。ものによってすべて違う。

 だから、おいしい焼酎なんかを出すのに器をこだわっている店も多いのかと今更ながら気づかされたり。

と、前フリが長くなりましたが、今日、一番書きたいことは、紙ストローについてなんです。昨年あたりから日本でも紙ストローを使うお店が多くなりました。大前提として、紙ストローにして、プラスチックの利用を減らしていかなきゃいけないのは十分にわかっています。それに非協力的なつもりもありません。

 ですが、大手コーヒーチェーン店が紙ストローに変えた時に、いつも飲んでいるアイスコーヒーをそれで飲んだ時に「まずい」と思ってしまったのです。こういうものになったんだ!とう意識を変えて、何度も飲みましたが、やはり、そこの紙ストローで飲むと、唇についたり、紙の味がしたりで、アイスコーヒーの味が変わったように感じてしまう。これはあくまでも個人の感想ですが。その時に、器によって飲み物の味が変わる話を思い出したのです。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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水平開きノートを作ったようにストローも…