■音の特徴を学んだら音読練習に挑戦

 英語の音の基本を押さえたら、次は英文を声に出して読む「音読」のステップに進んでほしい、と山田さん。

「まずは音源をよく聞いて、文の中で個々の音がどう変化しているのかをつかみます。次に、その音を再現することに注力して声に出しましょう。さらに意味や内容を意識して発話することで、きちんと伝わる英語へと進化していきます」

 音読は発音面以外にも多様な効果が期待できる、と山田さんは続ける。

「文頭から順に意味を理解することはリーディング力につながります。内容を伝えるつもりで言葉を発することでスピーキング力が鍛えられます。そして、読んだり話したりできる英語は最終的には書けるようになるので、ライティング力にもつながっていきます。結果的に4技能をバランスよく伸ばすことができるというわけです」

■意識的な音読がさらなる力になる

 ここで気をつけたいのが、漫然と読んでも意味がないということだ。

「音読はインプットとアウトプットの両方の要素を含んでいます。音や意味をしっかり意識しながら丁寧に進めることを心がけましょう。スマートフォンの音声入力機能を使って、発話した英語を認識してもらう、なんて練習も楽しくておすすめです」

 音読の総仕上げは、本人になりきって発話する「なりきり音読」だ。

「本人の気持ちになって話すことで、学んだ英語の『自動性』を高め、自分の言葉として使えるレベルに引き上げることができます。ただそれには、繰り返し練習することが重要。本当に好きな素材、飽きずに何度も味わえる素材、あるいは自分が英語を使うシチュエーションに近いものを選ぶのもいいでしょう」  ややもすると軽視しがちな発音練習。日々の学習に取り入れてみてはいかがだろう。

(文/岡田慶子)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より。