生駒幸恵さん(撮影/掛 祥葉子)
生駒幸恵さん(撮影/掛 祥葉子)

 若者のテレビ離れが深刻と言われる中、若い女性層からひときわ注目を浴びたテレビ番組がある。9月26日に生放送されたお笑い特番「お笑いの日2020」(TBS系)だ。放送後、番組公式Instagramには「アカウントがめっちゃイケてて感動した」「投稿が終わって寂しい」などのコメントが多数寄せられるなど、SNSで大きな反響を呼んだ。その裏には、「SNSコンサルタント」を名乗る女性の大胆な仕掛けがあった。

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 7月下旬。SNSコンサルタントの生駒幸恵さん(34)の元にTBSからこんな依頼があった。

「『お笑いの日2020』では、普段テレビを見ない10代、20代の女子にテレビを見てもらえるようにしたい。これまでにない、SNS施策を考えてほしい」

 TBSは数年前から「ファミリーコア」と呼ぶ13~59歳の視聴者の獲得を重視した番組作りをしており、同番組では特に若年層の女性の取り込みを強化したかったようだ。

 これまで培った女性をターゲットにしたSNSのノウハウをどうしたら最大限に生かせるか。生駒さんは考え抜いたあげく、次々と“仕掛け”を投じていった。

 まず、放送1カ月半前に番組の公式SNSアカウントを開設。ダウンタウンのSNS向けオリジナル動画を配信したり、女性人気の高いEXITらによるプレゼント企画を投稿したりして、放送への期待値を高めていった。

 放送当日はインスタライブを配信したほか、芸人の楽屋を写真やグッズでデコレーションし、彼らが自発的に写真を投稿したくなるような空間を演出。狙い通り、当日は多くの出演芸人たちが写真をSNSに投稿し、番組告知に大きく寄与した。

 番組公式アカウントは、放送前の1週間で1千万インプレッションという異例の数値を記録。フォロワー26万人を持つ某インフルエンサーの週間インプレッションが約150万であることを考えると、開設からわずか45日でこの数字をたたき出すのは、まさに快挙だった。また、「いいね」やコメント数の割合を示す「エンゲージメント」は、通常で5%で高いと言われている中、13.6%を記録。生駒さんが考案した番組オリジナルグッズの売れゆきも好調で、SNSから通販サイトへの送客は1週間で2万件を突破した。

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アパレルの「ギャルブランド」での成功体験