ちなみに赤星は、前出の入団発表の席で、「目標は世界の盗塁王・福本さんです」とこれまたビッグな目標を掲げ、ルーキーイヤーから5年連続の盗塁王に輝くなど、通算381盗塁を記録。故障で現役生活が9年と短かったため、通算1065盗塁の福本の半分にも及ばなかったが、ファンの間で「福本とどっちがすごい?」と比べられるまでになった。

 阪神といえば、今季限りで現役引退する藤川球児も、98年の入団発表の際に「10年後の自分ですか?そうですね。たぶん3回くらい優勝していて、一度は胴上げ投手になっています」の大胆発言で、野村監督を「ここにいる藤川君のご両親は、育て方を間違ったというか、彼は野球選手でなくても大成しているんじゃないか」と狼狽させている。

 だが、優勝回数こそ目標より1回少なく、05年の胴上げ投手も久保田智之に譲ったものの、優勝決定試合で当時のプロ野球新記録のシーズン79試合登板を達成するなど、ほぼ入団時の目標に近い結果を出した。

 ビッグマウスのまま終わるか、「夢をありがとう」とファンから感謝される選手になるかは、プロ入り後の実績次第なのである。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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