PL学園の復活とともに期待したい“桑田真澄監督”の姿 (c)朝日新聞社
PL学園の復活とともに期待したい“桑田真澄監督”の姿 (c)朝日新聞社

 明星高校(大阪)を全国制覇に導いた真田重蔵監督や、池田高校(徳島)で春夏通算3度の甲子園優勝を果たした蔦文也監督は、元プロ野球選手だった。だが、1961年の「柳川事件」を契機にプロとアマが断絶。以降、長きに渡ってプロ野球関係者が高校生を指導することが禁じられていたが、1984年以降、段階的に規制が緩和され、2013年からは学生野球資格回復研修会を受講して審査を通れば、指導が可能になった。

 そして2019年春の選抜では、阪神などでプレーした中谷仁が監督を務める智弁和歌山が準々決勝まで進出。残念ながら開催中止になったが、今年の選抜甲子園大会には“中谷智弁”に加えて、元近鉄・阪神の中村良二監督率いる天理、ダイエー、西武、阪神で活躍した佐々木誠監督率いる鹿児島城西が出場予定だった。昨年からは現役選手の研修会受講も可能となり、今後、元プロ監督が増えていくことは間違いない。

 まず話題となったのが、桑田真澄だ。甲子園に春夏計5度出場で戦後最多の通算20勝を挙げた甲子園のスターから巨人で通算173勝をマークした名投手。その母校であるPL学園の野球部は2016年夏限りで休部となったが、今年1月に行われたOB会総会に会長として出席した際に、将来的な監督就任について「そういう夢はある」と発言した。

 現役引退後に早稲田大大学院スポーツ科学研究科を修了した桑田は、東大の特別コーチや独立リーグの臨時コーチなども務めた経験もあり、何より自らが掲げる超効率的努力を軸にした「心の野球」は、高校野球の舞台でこそ真価を発揮する。是非とも、桑田監督の甲子園帰還を見てみたい。

 昨年3月に日米通算28年の現役生活に別れを告げたイチローは、同年12月の研修を修了し、今年2月に「鈴木一朗」の名前で学生野球資格回復が認められた。引退会見でプロ野球の監督就任については「絶対に無理。人望がないんですよ、僕」と言い切ったが、同時に「プロ野球に入る前の段階の高校生、大学生。彼らにどう関わっていくのか、関われるのか。ここには、大きな関心があります」と発言している。

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現役監督で高校野球を指揮して欲しいのは?