来年の秋には、日本初の女子プロサッカーリーグ=WEリーグが開幕する。高倉監督は「コロナ禍の中でも、プロリーグを立ち上げようと強い想いを持って、苦労しながら話を進めている方々がいる。難しい問題はたくさんありますが、舟や自転車をこぎ出す時にも、大きなパワーがいりますから」と関係者にエールを送り、同時に期待を寄せる。

 代表とリーグは両輪。WEリーグの成功を約束するためにも、代表の活躍は必要だ。また、秋春制への移行に伴う空白期間も、代表チームの完成度を高める糧になるだろう。

 2016年にリオ五輪出場権を逃し、昨夏のベスト16敗退。女子W杯・ドイツ大会(2011年)の優勝を皮切りに、ロンドン五輪(2012年・銀メダル)、女子W杯・カナダ大会(2015年)と、世界大会のファイナルへ進んでいた。ただでさえ、代表チームは結果が評価を左右する。「なでしこジャパンは大丈夫?」という厳しい声や批判は、大きな期待の裏返しなのだ。

 フランスでの戦いで、ヨーロッパ勢はベスト8の7チームを占めたが、今度、ホームのアドバンテージを得るのは、日本の側。なでしこリーグを戦う中で、選手が酷暑への対応力を身に着けているのは大きな強み。筆者自身は、メダルを十分に期待できると考える。

「このチームは未来に向かって、必ずレベルアップしていく。それは間違いないと思っています」と高倉監督。なでしこジャパンが、再び、世界の頂点を争う日は、そう遠くない。(※高倉監督への取材は、10月14日(水)、オンラインで実施)

(文・西森彰)