「私が心を込めて食べられますように」「私が食べものに感謝できますように」といったフレーズを料理に向けながら、食べ始めます。料理を見つめ、新鮮な野菜、ベーコンのよい香り、ご飯のふくよかさに気づきましょう。

 感謝をもって微笑みを送ると、その食べものにかかわる人々のイメージが浮かんでくることもあります。「野菜さん、パンさん、農家のみなさん、その家族のみなさん、ありがとう。生きとし生けるものが幸せでありますように」。こんなフレーズを唱えます。

 口いっぱいにほおばらず、ひとくちの量は少なめにします。もぐもぐと食べるたびに、生じてくる感覚に気づきを向けましょう。ゆっくりと味わうと、とってもおいしく感じる瞬間があります。自然や大勢の人とつながっている感覚や喜びを感じられるかもしれません。食べ終わったら、自然と「素晴らしいひとときをありがとう」という感謝の気持ちが出てくることもあるでしょう。

 マインドフルに食べると食べ過ぎがなくなりますし、苦手なものでも、おいしさに気づくことができます。

■通勤ラッシュは周囲との共通性に気づく

 ホームやバス停で列を作って待っているとき、立っている場合は、「立っています。感じています」と足の裏に気づきを向けます。座って待っているなら、ベンチにふれているおしりの感覚に気づきを向けてもいいでしょう。その合間に、自分に向けて「私が幸せでありますように」とフレーズを唱えます。

 さらに、同じように並んでいる人たちに「あなたが無事目的地に着きますように」、もしつらそうな人、しんどそうな人がいれば「あなたの苦しみがなくなりますように」というフレーズを投げかけてみましょう。イライラせずに、同じ境遇にある他者と心地よくつながっている感覚が生まれてくるかもしれません。

 電車やバスが到着したとき、すでに満員ということがあります。その時点で不快感を持つと、乗車中ずっとイライラして、ちょっと肩が当たっただけで腹も立ちます。

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入浴時のセルフ・コンパッションは?