■運動だと、精神論が出てきたり対策がアバウトになりがちに

  もし勉強でテストの点数をあげたいならば、問題を解くことでどの分野が弱いかを判断し、「ではこの範囲の暗記を強化しましょう」と具体的な対策をたてていくのが普通です。

 しかしなぜか運動となると、どこを直せばピンポイントでうまくなるのかという流れにはなりにくく、単なる走り込みで体力をつけることから始めたり、「甘えているだけ」「もっとがんばるべき」といった精神論が出てきたり、対策がアバウトになりがちな気がします。息子も、具体的なアドバイスの通りに練習したおかげで、「私からの愛情を試す説はいったい何だったのか?」と思うほど、身体を上手に動かせるようになってきました。

「息子は 運動神経が悪い」と前述しましたが、それは単純に特定の筋肉の使い方が下手なだけだったのです。勉強で苦手な分野を暗記すれば点数があがるのと同じで、運動だって、サボっている筋肉を突き止めて「活動させて」あげるようにしていけば、伸びていくものだと知りました。それなのに最初から、生まれつきとか才能だとかで諦めてしまうのは、もったいないことだと知りました。

 ARROWZはまだ、東京、大阪、横浜、静岡の数カ所しかないということですが……全国には、息子のように「なんでこんな運動ができないのだろう?」と悩んでいる子どもがたくさんいるでしょう。そんな子どもたちのために、「科学的に根拠のある解決策」を教えてくれる場所が増えてくれれば、と願うばかりです。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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