大塚さんは、薬をやめてからの1年間で、結婚をして、子どもも授かっていた。

「薬のおかげで体調が改善し、精神も上向いて、あっという間に薬がいらないくらいまでよくなる例は少なくありません。プライベートなこととの関係までは分かりませんが、薬がきっかけとなって、好循環を生んだのかもしれません」

 鈴木医師は、機能性ディスペプシアを「まるで人生を表したような病気」と語った。

 機能性ディスペプシアは、基本的には命に関わる病気ではない。しかし、QOL(生活の質)を下げる病気を治すことは、幸福に暮らすためには欠かせない。

 もし、おなかが痛いくらいで病院に行けないと悩んでいる人がいるなら、自分の人生のためだと思って、一歩踏み出してみることをおすすめしたい。

(文・中川雄大)