鈴木医師は、機能性ディスペプシアを治療するメリットについて、次のように話す。

「機能性ディスペプシアは、放置したからといって、それで命に危険が及ぶといったことは、基本的にはありません。そこまで重篤な病気ではないので、我慢してしまう人もたくさんいますし、自然治癒される人もいます。でも、機能性ディスペプシアはQOL(生活の質)に直結する病気です。おなかが痛くて仕事や勉強に集中できず、気分が落ち込み、余計に症状が悪化するといった、負の連鎖に陥ることもあります。命に危険がなくても、人生をよりよく生きるために、病院に来て早く治すのが良いと思います」

 治療は内服薬が主。胃酸を抑える薬や、胃の働きを促進する薬などを、医師が症状を診ながら処方する。

 薬の効果で腹痛が緩和されたことがきっかけで、気持ちが前を向いて、一気に快方に向かう患者も少なくないのだという。ただでさえストレスフルなコロナ禍の今、無理をせず自分の身体を大切にできることも、重要な能力と言えるだろう。

(文・中川雄大)