5.栗花落(つゆり)
~栗の花が落ちるころに梅雨入りする

「つゆり」は「つゆいり」が変化した読みです。梅雨入りするころに栗の花が落ちることから、「栗花落」と書いて「つゆり」や「つゆ」と読むようになったといわれています。旧暦の5月のはじめごろにあたるので、「五月七日」の字を当てることもあるといいます。

6.太古前(たいこまえ)
~最も古い名前を求めた結果……

 読み方は普通ですが、面白いエピソードが残っています。明治になって、すべての国民が名字をつけることになり、それまで名字のなかった人は役所で登録することになりました。そこで、日本でいちばん古い名字を希望した人がいたそうです。役所の人は「古代」を提案しましたが、もっと古いほうがいいといわれ次に「太古」を提案。そして、さらに古いものということで「太古前」になったといわれています。

7.七五三(しめ)
~七筋、五筋、三筋の藁を注連縄に垂らした

「注連縄(しめなわ)」に由来する読みです。注連縄は、ねじった縄の下に藁(わら)や垂(しで)という紙がぶら下がっていますが、もともと藁は向かって右から順に七筋、五筋、三筋と決まっていました。そこから「七五三縄」とも書くようになり、「縄」を取った「七五三」で「しめ」と読むようになったのです。漢数字の熟語による変わった名字では「九十九」と書いて「つくも」や、「五六」で「ふのぼり」などもあります。

※漢字エンタメ誌「みんなの漢字」2019年5月号から抜粋
監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)