中日からドラフト1位指名を受けた中京大中京・高橋宏斗 (c)朝日新聞社
中日からドラフト1位指名を受けた中京大中京・高橋宏斗 (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの影響で史上初めて球団ごとに部屋を分けて、リモートという形で行われた今年のドラフト会議。支配下で74人、育成で49人の合計123人が指名される結果となったが、補強ポイントやチームの将来に適した指名ができた球団はどこだったのか、採点してみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。

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■中日:90点

 高校生ナンバーワンはおろか、将来性を含めれば今年の目玉の一人とも言える高橋宏斗(中京大中京)の単独指名に成功。地元優先の路線には疑問が残るが、高橋はそういう事情も関係ないレベルの投手であり、この指名だけでかなりの高得点をつけられる。更に2位の森博人(日本体育大)もリリーフであれば1年目から戦力となる可能性の高い実力者だ。また下位指名ながら福島章太(倉敷工)、加藤翼(帝京大可児)の二人も将来性は申し分ない。投手に関しては満点がつけられるだろう。

 野手も守備では高校生ナンバーワンショートの土田龍空(近江)を指名して若手の強化を図り、手薄になってきた外野手でも三好大倫(JFE西日本)を獲得した。できれば強打者タイプの野手がもう一人欲しかったところだが、全体的なバランスも良い指名だったと言えるだろう。

■阪神:80点

 野手では一番人気だった佐藤輝明(近畿大)を引き当てたことが非常に大きい。強打者が慢性的に不足していたが大山悠輔が一本立ちし、佐藤と昨年獲得した井上広大がその前後を打つような中軸が完成すれば、長期にわたって安定した打線を組むことも可能になる。ただ佐藤自身は大山の大学時代と比べても完成度は劣るだけに、即戦力としては考えないことが重要になるだろう。

 2位の伊藤将司(JR東日本)、3位の佐藤蓮(上武大)は少し順位が高いようにも感じるが、伊藤は左の先発、佐藤蓮はリリーフタイプと特徴がはっきりしている選手であることは間違いない。特に佐藤蓮の馬力は人並み外れたものがあり、将来のクローザー、セットアッパー候補として面白いだろう。一つ残念だったのが高校生が高寺望夢(上田西)だけだったところ。24歳以下の若手はまだまだ少なく、昨年多く獲得した高校卒の選手に刺激を与える意味でももう少し高校生を指名したかった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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佐藤を外した巨人の採点は?