俳優、脚本家の佐藤二朗さん
俳優、脚本家の佐藤二朗さん

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、稽古期間中の出来事について。

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 はい。連日稽古中です。

 ミュージカル「プロデューサーズ」、連日、稽古中でございます。もはや何も言いますまい。稽古場はもちろん、移動の車内、帰宅後も風呂に入りながら、息子の宿題をみながら、晩酌をしながら(※酒量抑えめ)、歯を磨きながら、妻にチューを断られながら(※ほぼ日課)、果ては布団に入ってからも、わたくしの頭の中は、現在ミュージカル一色でございます。妻にチューをせがんでる時点で一色ではないんでは?などと思ってはいけない。先日なんぞは、睡眠中になんと寝言で一曲フルで歌い上げました。ごめんなさいさすがにそれは嘘ですが、めったにない機会、千秋楽まであと1カ月と10日ほどの期間は、思いきり身も心もミュージカルに染め上げたいと思います。ミュージカル「プロデューサーズ」は11月9日から東急シアターオーブにて。

 さて、人類史上まれにみるテンパリストの僕ですから、さらに前述のようにミュージカル稽古期間中ともなりますと、基本我が家での僕は、ここのところ、ずっーとオタオタワタワタしております。

 先日の出来事。

 朝、早めに起き、ダンスと歌の復習を入念に自宅でしておりました。昔から悪い癖で、集中すると、完全に時間がたつのを忘れてしまうことがあるんですね。まさにこの時がそうで、気づいたら、なんと!なんとあと15分で!稽古場に出掛けなければいけません!

「おぅみぃ!」

 確かそんな感じの奇声を発したと思います。正確には僕自身は奇声を発した記憶はないんですが、のちに妻が証言してました。「アンタ、あの時、『おぅみぃ!』って言ってたよ」と。とにかくそのような意味不明な声をあげ、焦りまくって稽古場に行く用意を始めます。まず、タンスから何枚ものTシャツを引っ張り出します。人類史上まれにみる汗かきの僕はダンスの稽古でとんでもなく大量に汗をかくので、まずはその着替え用にタンスから大量のシャツを引っ張り出すことから始めるのです。ごめんなさい今ダンスとタンスを掛けたわけではありません。誰もそんなことは気にもとめてないし、大して掛かってもいないわけですが、あぁ、すでに書きながら思い出してテンパってきちゃったよオイ。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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