それでもわからない場合、皮膚を一部とって検査します。これを生検といいます。皮膚局所に麻酔をして米粒ほどの大きさをとって2~3針縫うことになります。取った皮膚は顕微鏡で観察して、ブツブツの見た目とあわせて診断をつけます。

 当然ながら、診断をつけやすい皮膚病もあれば生検までしないとわからないものもあります。皮膚科は見ればわかるからといって、すべてオンライン診療でカバーできるわけではありません。モニター越しに皮疹をみて、やっぱり「病院にお越しください」なんてことになることも多々あるでしょう。

 オンライン診療は患者さんにとって、待ち時間や病院までの往復の時間を考えるととても便利なものだと思います。しかし一方で、見るだけで診断がつきそうな皮膚科でもオンライン診療ですべて解決するわけではありません。また、ご高齢の方にとってはオンライン診療はハードルが高いものでしょう。

 もしかしたら将来、AIの画像診断能力が向上して、皮膚科領域に関してはかなりの疾患をオンライン診療でカバーできる日がくるかもしれません。皮膚病変を映し出したモニターに疾患名が浮かび上がり、その横には診断の確率がパーセントで表示される。新しい技術を取り入れ、医療がもっと便利で身近なものになるために、オンライン診療の恒久化は大きな一歩なのかもしれません。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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