大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 インターネットを使って患者の診療を行う「オンライン診療」は、当初、新型コロナウイルス対策として時限的な措置で認められていましたが、政府は今後も、恒久化することで調整を進めています。オンライン診療で、どこまで従来の診療に近いことができるのでしょうか? 京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が語ります。

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 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、厚生労働省は2020年4月10日に「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」という通知を出しました。

 注目すべき変更点は、初診でもオンライン診療が可能となったことでしょう。私たちの病院では、残念ながらオンライン診療は対応できていませんが、新型コロナウイルス感染症流行下において電話診療が可能となりました。

 これまで通院していた再診の患者さんに限りますが、医師から患者さんへ電話をして症状を把握し、処方、次回予約まですべて電話で対応します。処方箋は患者さん指定の薬局へ病院からファックスを送り、患者さんは薬局で薬を受け取ることができます。診察料などは振込用紙を後日郵送しますので、病院に一度も足を運ばずに治療を受けることができます。

 このオンライン診療や電話診療は、患者さんにとってメリットが大きく、アフターコロナでも制度は維持されそうです。田村憲久厚生労働相の記者会見によれば、電話での初診診療は終了する見通しとなるものの、オンライン診療は恒久化に向けて制度設計が本格化するようです。

 私が専門とする皮膚科では、皮疹を見ないとさすがに診断はできませんので、初診での電話診療は難しいことは一般の方もご理解いただけることでしょう。一方、じんましんやアトピー性皮膚炎など、慢性の経過をたどっている患者さんで大きな変化がない場合は電話でも対応することは可能です。

 では、オンラインの画面で病状を確認できるのであれば初診からしっかり診断できるのか?皮膚科の場合は、皮疹を見られれば大丈夫、なのでしょうか?

 もちろん、私たち皮膚科医は皮疹を見れば多くの皮膚病がわかります。形、色、分布などを見て疾患を絞ります。ただこれで十分かといわれると、実はそんなことはありません。見る以外にも触る必要があります。

 ブツブツは軟らかいのか硬いのか。皮膚の中に免疫細胞が寄ってきているかどうかは硬さで判断できます。出来物の場合はつまんでみて動きが良好かどうか。動きが悪いものは悪性のことが多いからです。こういった触診の情報を踏まえ診断します。

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大塚篤司

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大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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