「ただビデオ通話で話すだけでなく、施設パンフレットを画面共有したり、施設について説明する担当者とは別のスマートフォンを持った担当者が、施設内を歩き回ることで居室や共用スペースを見せたり、入居者や介護スタッフと直接話す機会を設けたりしているところもあります」(吉田さん)

 施設側もまだ手探り状態ですが、「介護のほんね」では、「オンライン見学」を利用した見学者や施設側から意見や感想を聞きとり、それを各施設にフィードバックすることで、「オンライン見学」のさらなる充実を図っています。

■離れて暮らすきょうだいと同時にオンライン見学も

 利用者の中心は、親の入居を検討している40~50代の人たち。「施設の人の顔を見て話ができるので、安心できる」などと反応も上々。親と離れて暮らす人も多いため、本来であれば時間や交通費をかけて現地に赴くところを、自宅で見学できるという手軽さに魅力を感じているそう。

 「複数の施設を見学したい場合、1日に何軒も回るのは難しいですが、オンラインなら可能です。仕事の合間に職場から見学することもできます」(同)

 利点はほかにもあります。異なる場所に暮らすきょうだいがオンライン上で同時に見学したり、入居希望者のことをよく知るケアマネジャーやソーシャルワーカーに同席してもらい、施設が本人に向いているかどうかを一緒に見てもらったりもできます。

「コロナがきっかけでしたが、施設見学の効率化が図れますし、オンラインならではのメリットが多いことがわかりました。『うちも始めたい』という施設も増えています」(同)

 緊急事態宣言という特殊な状況下ではあったものの、オンライン見学のみで入居を決めた事例もあったとのこと。「オンライン見学」は、コロナ禍の一時的なサービスにとどまらず、大きな可能性を秘めています。

(文/吉川明子)

「介護のほんね」オンライン見学のサイト
https://www.kaigonohonne.com/theme/online

※「高齢者ホーム2021」より抜粋