3位につける本では、FW谷口海斗に注目だ。1995年9月7日生まれの25歳。四日市中央工高時代はBチーム、岐阜経済大2年次にセンターバックからフォワードに転向したという遅咲きのストライカー。2018年にJ3盛岡(現岩手)に入団して15得点の活躍を披露すると、昨季は9得点と数字を落としたが、熊本に移籍した今季はここまで全試合に先発出場してリーグトップの12得点をマーク。3トップの左の位置から積極果敢に相手ゴールに迫り、体力、フィジカル的な強さを生かしながら、カットインや鋭い切り返しからの右足ゴール、難しい態勢での左足ボレーなど、多彩なパターンでゴールを量産している。

 熊本にはもう1人、3トップの中央を務めるFW高橋利樹も絶賛成長中だ。1998年1月20日生まれの22歳。埼玉栄高から国士舘大を経て熊本入りした大卒ルーキー。開幕戦から体を張ったプレーを続けながら、高さを生かしたヘディングと裏への抜け出しでゴールを重ね、第13節の富山戦では前線からのチェイシングで自らボールを奪い、そのままエリア外から豪快な右足ミドル弾で今季7点目。高さと強さ、得点力を兼備した1トップ型の日本人FWは希少価値が高く、このまま結果を残し続ければ、さらなるキャリアアップが可能になってくる。

 一度は落とした評価を再浮上させて“覚醒”が期待されるのが、鳥取で奮闘するMF坂井大将だ。1997年1月18日生まれの23歳。大分の下部組織出身で2015年にトップ昇格。各世代別代表に選ばれ、2013年U-17W杯と2017年U-20W杯に出場。2014年のブラジルW杯では、日本代表のトレーニングパートナーに選ばれてA代表に帯同した経験も持つ。

 その肩書に相反し、J2大分で出番を得られず、ベルギー2部や新潟、群馬での武者修行先でも状況は変わらずに伸び悩んだが、今季レンタル移籍した鳥取では、シャドーストライカーとして22試合中20試合(先発15試合)に出場してチームトップタイの6得点。ボランチを本職にしていた以前はフィジカル的な弱さが目立ったが、より攻撃的な位置で高い技術が発揮されるようになった。器用貧乏から脱することができれば、再び陽の当たる場所に戻ることができるはずだ。

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新たな“シンデレラストーリー”は生まれる?