このウェアの加圧設計は多種多様ですが、主に「全体に均一に着圧を与えるもの」「末梢(まっしょう)から心臓にかけて圧が強くなるよう段階的に圧をかけるもの」「テーピング効果のあるラインを走らせたもの」の3種類があります。着圧ウェアのメリットとしては、血行促進による「運動効率向上」や「筋肉疲労軽減」「筋肉・関節の保護」などがあります。圧が強すぎない、自分のからだに合ったウェアを選ぶことが基本となります。

 また近年のランニングブームで、ランニングシューズなどの市場も活発になり、各メーカーがさまざまな新シューズを開発し、発売しています。シューズについても、着目すべきポイントを少し紹介します。

 シューズは足を保護するほか、軽く、通気性がよく、活動性を制限しないものがいいでしょう。歩行、ランニング、ジャンプ、着地などの動作で、足には繰り返し力学的ストレスが集中します。歩行時には体重の約3倍、ランニングでは約10倍の衝撃が加わるともいわれ、足のアーチ状の骨格構造が、ばねのように衝撃を和らげる働きをしています。

 そこで重要なのが、シューズの足底板です。適度なクッション性と反発性があり、安定性に優れたものを選ぶといいでしょう。必要に合わせて素材や構造が工夫された、ソール(中底)を使用することもできます。シューズ選びは、足関節捻挫、疲労骨折、ひざの靭帯損傷などのスポーツ障害の予防や再発防止においても重要です。足の形は個人差が大きいので、試着をしてしっかりとフィットする形のシューズを選びましょう。

 以上、スポーツウェアやシューズの選び方について紹介してきました。これらを参考にして、より快適なスポーツ生活を送っていただければと思います。ただ、どんないい製品を身につけようとも、成果を出すのはウェアやシューズではなく「着用している本人」です。そのことを忘れずに、日々のトレーニングに取り組んでみてください。

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松本秀男

松本秀男

松本秀男(まつもとひでお)/医師。専門はスポーツ医学。1954年生まれ。東京都出身。1978年、慶応義塾大学医学部卒。2009年から2019年3月まで、慶応義塾大学スポーツ医学総合センター診療部長、教授。トップアスリートも含め多くのアスリートたちの選手生命を救ってきた。日本臨床スポーツ医学会理事長、日本スポーツ医学財団理事長。

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