また、喉頭を摘出すると声を出せなくなるため、術後は代用音声により話す機能を回復させる訓練をおこなう。発声方法には、食道を振動させて発声する「食道発声」、電動の機器を使用する「電気喉頭」、気管と食道をつなぐ器具を入れる「シャント発声」などの方法がある。

「それぞれのメリット、デメリットを理解した上で、自分に合う方法を選ぶといいでしょう。全国各地域で専門の団体が発声教室をおこなっており、退院後も継続して訓練をすることができます。わからないことがあれば、まずは主治医や看護師、言語聴覚士などに相談しましょう」(朝蔭医師)

 喉頭がんの治療を受ける病院選びのひとつの指標として、朝蔭医師は「頭頸部がん専門医がいる病院、あるいは頭頸部がん専門医の指定研修施設であること」を挙げる。

「どちらも日本頭頸部外科学会のホームページで見ることができます。専門医や指定研修施設は、厳しい基準をクリアした医師、病院であると考えられるでしょう。声門がんでは自覚症状もみられるため、声のかれが2週間以上続く場合などは、専門医を受診することをおすすめします」(同)

(文・出村真理子)

<取材した医師>
東京医科歯科大学医学部病院 頭頸部外科科長・教授 朝蔭孝宏医師
国立がん研究センター中央病院 放射線治療科 村上直也医師