入所時の一時金が不要で、利用月額も介護保険施設なので、民間の介護付き有料老人ホームなどに比べて費用が大幅に安くなるのは大きなメリットですが、その分、入所希望者が多く、地域によっては入所まで長い待機期間が必要になります。

「介護老人保健施設」は「老健」とも呼ばれる医療的なケアを主眼とした施設で、入所者が可能な限り自立した日常生活を送ることができ在宅復帰ができるように、リハビリテーションや医師・看護師による医療、介護などを提供します。

 特養とは異なり「要介護1」の人から対象となりますが、終身利用はできず入所期間は原則3カ月~半年程度(3カ月で入所を継続するか判断される)。大きなけがや病気をして病院に入院し、その後退院してすぐ自宅に戻るには不安が大きい場合などに活用されることも多いようです。

「介護医療院」は2018年創設の新しい施設で、長期的な医療と介護が必要な高齢者を対象としています。医療サービスが行われるのは老健と同じですが、「自宅での生活への復帰」を目的とした老健とは異なり、「看取り」や「ターミナルケア」までを見据えて医療機関と生活施設を兼ね備えています。

 特養や民間の有料老人ホームの入居者が大きなけがをしたり、重い病気にかかったりした場合の受け入れ先としても、その役目を果たします。

※介護医療院創設に伴い、従来の「介護療養型医療施設」「介護療養型老人保健施設」は2023年末までに介護医療院に移行・廃止される予定。

■「グループホーム」は少人数で共同生活を送る地域密着型の介護施設

 一般に「グループホーム」の名前で知られているのが「認知症対応型共同生活介護」です。これは、認知症の高齢者を対象に専門的なケアを提供するサービスで、入所の条件は介護保険の「要支援2~要介護5」の認定を受け、また「認知症と診断」された人です。施設と同一の市区町村に住民票があることも条件になります。

 グループホームに入所した利用者は、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを受けます。グループホームでは、一つの共同生活住居で5~9人の少人数の利用者が介護スタッフとともに共同生活を送ります。

次のページ
グループホームはその地域に住む住民が対象