みちょぱこと池田美優(C)朝日新聞社
みちょぱこと池田美優(C)朝日新聞社

 テレビのバラエティ番組に出演することは、一種のスポーツのようなものだ。自分のところに来た球を正確に打ち返す技術と反射神経が求められる。

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 スポーツの世界で「天才」と呼ばれるアスリートがいるように、バラエティの世界にも天才がいる。「2020上半期テレビ番組出演本数・女性タレント部門ランキング」で5位にランクインしたモデルの「みちょぱ」こと池田美優は、間違いなくそんな天才の1人である。

 2020年10月8日放送の『ロンドンハーツ3時間スペシャル』(テレビ朝日系)の人気企画「女性芸能人スポーツテスト」では、みちょぱが総合優勝を果たし、前人未到の4連覇を達成した。朝日奈央、藤田ニコル、3時のヒロイン、ぼる塾など、個性豊かな女性バラエティタレントが集結する中で、抜群の身体能力を生かして優勝という結果を勝ち取った。

 茶髪でギャルメイクのみちょぱは、テレビに出始めの頃は一種の「おバカキャラ」として扱われていた。若くて社会経験の少ないギャルがピント外れのことを言うのが面白がられていたのだ。いわば、ボケとツッコミの役割分担で言うと、最初はボケ役を担当していたことになる。

 ボケには大きく分けて天然型と計算型の2種類がいるのだが、みちょぱはどちらにも当てはまらない。ギャルらしくとぼけたことを言うこともあったのだが、天然と呼べるほどの爆発力はない。だからといって、計算して面白いことを言うタイプでもない。

 それでも彼女がボケ役として重宝されてきたのは、本人がなにげなく素直に発言したことがバラエティタレントとして大正解であることが多かったからだ。

 この第一段階を経て、バラエティ番組への適性があることが共演者たちに認められると、今度は第二段階としてツッコミ役を期待されるようになる。話題を振られて何か返すという「フリ→ボケ」の関係の次は、ボケを振られてツッコミを返すという「ボケ→ツッコミ」の関係に移行する。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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