一方で私立大学を中心に民間試験を独自に活用するところも増えている。文科省の調査によると2020年3月の時点で、一般選抜に「利用する」とした大学は200校以上。利用法は出願資格、加点などさまざまだが、なかには比重が大きい大学もある。たとえば立教大は独自の英語試験を廃止し、英語民間試験のスコアもしくは共通テストの英語の成績を活用する。上智大は民間試験の一つであるTEAPのスコアを出願資格とする方法を試験方式の一つとして採用している。両大の入試担当者によると、現在のところコロナ禍における特別な配慮は行わず、民間試験の活用を予定どおり進める方針だという。

 新型コロナの感染状況が見通せないなか、受験生やその保護者の間では、受験だけでなくその先の大学教育に対する不安の声も大きい。都内私立高3年男子の母は、こう言う。

「大学に入学できたとして、大学生活がどうなるのか。息子はサークル活動を楽しみにしているので、それができるのか心配のようです。周囲には、このままオンライン授業が続くのなら、最初の年は休学させたいと考える保護者もいます。確かにネット授業に高い授業料を払うくらいなら、休学して他のことをする選択肢はあるのかもしれません」

(文/稲田砂知子)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より

AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter【表紙:中島裕翔】 [雑誌] (AERA増刊)

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稲田砂知子
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