原監督との出会いが野球選手としての成長を促し、巨人入団までの道のりを作り出した。しかし選手としては、原監督時代に巨人に在籍したことで結果的にチャンスが少なくなり、レギュラー奪取に至らなかった。移籍した日本ハムは常勝を求められる球団ではなく、使い続けられた結果、現在の活躍に至る。皮肉なものである。

「下でくすぶってレギュラーを取れない選手がトレードで出て行って、いろんな複雑な心境はあると思うけど、こういう例ができれば、良いサンプルになれたら良いかなと思います」(大田・2019年シーズンオフの年俸更改後)

 大田とともに移籍でブレークしたのが澤村拓一。今季9月7日にロッテ移籍後はセットアッパーとして勝利に直結する重要な場面を任され、巨人時代とは別人のような投球を見せているのは周知の通り。

 10年ドラフト1位で中央大から入団した澤村は、真っ直ぐとフォークを中心に力で抑えるタイプ。1年目から11勝を挙げ新人王に輝くなど期待通りのプロ生活をスタートさせたが、次第に制球難に苦しみ始める。また私生活でもたびたびトラブルが報道され、チーム内で浮いた存在になりつつあった。今年は3軍生活を送るなど、半戦力外の扱いだったことを考えれば、本人にとっては野球人生を左右する大きな移籍になりそうだ。

 巨人に入団できるのは、年によって違いはあるものの年間10人前後(20年は育成含め8名)で、その数だけユニフォームを脱ぐ者も出てくるシビアな世界。また支配下選手上限が70名のため、多くは2軍暮らしになる。

 2軍生活が長い巨人選手には、大きく分けて2パターンが存在した。1軍レギュラー奪取を信じて練習に明け暮れる選手。そして1軍選手たちのレベルと自分を比べ、早々と諦めてしまい現状に満足してしまう選手だ。

「プロになれる素材だから、子供の頃から野球はずば抜けている。周囲から特別扱いされている。自分が1番でプロでも活躍できると思っている。そういう選手に限ってカベにぶつかると弱い。うまくいかないことに慣れていないので、どうして良いのか分からなくなる。それでも巨人の選手なので周囲からは好待遇される。2軍選手でもチヤホヤされ、タニマチに面倒を見てもらっている選手もいた。このままで良い、と甘えてしまい野球に真剣に取り組まなくなる選手もいる。それが育成阻害の原因だという声も多かった。巨人全体で改革しようと動き始めている」(在京テレビ局スポーツ担当)

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今後も元巨人の選手が活躍する例が続く?