ズレータとの大乱闘を繰り広げたセラフィニ (c)朝日新聞社
ズレータとの大乱闘を繰り広げたセラフィニ (c)朝日新聞社
セラフィニの背中越しの投球にズレータが怒り、両軍入り乱れる大乱闘が発生 (c)朝日新聞社
セラフィニの背中越しの投球にズレータが怒り、両軍入り乱れる大乱闘が発生 (c)朝日新聞社

 乱闘で一度に3人の助っ人が退場になる珍事が起きたのが、2004年7月19日のロッテvs近鉄(大阪ドーム)だ。

【写真】ダイエー戦でもプロレスのデスマッチさながら!両軍入り乱れての大乱闘シーンがこちら

 近鉄の先発・バーンは、7回2死までロッテ打線を3安打無失点に抑え、4対0とリード。ところが、2死無走者からフランコに四球を与えた直後、ボール判定に不満をあらわにし、マウンド上で文句を言いだした。

 これに対し、フランコは「あのクソボールがストライクのわけないだろう」と言い返し、そのまま一塁へ。

 事件が起きたのは、攻守交替のとき。ベンチに戻ろうとするバーンが、フランコを罵ったことがきっかけだった。2人がやり合っているのを見たセラフィニとベニーも、フランコに加勢しようとベンチを飛び出し、バーンに掴みかかる。これを合図に両軍ナインが集まり、乱闘が始まった。

 原因となったバーン、セラフィニ、ベニーには退場が宣告されたが、一度に3人が退場になるのは通算4度目。3人のいずれも外国人というのは、史上初の珍事だった。

 ロッテ・バレンタイン監督は「バーンがマウンドから真っすぐベンチに帰っていれば、問題はなかった。立ち止まったことが原因だ」と非難したが、“天敵”バーン降板後も打線は点火せず、0対12と完敗した。

 それから2カ月後のダイエー戦、今度はセラフィニが乱闘劇の主役になる。

 この日のセラフィニは初回に3点を失うなど4回までに4失点。1対4とリードされた6回1死、前の打席で本塁打を打たれているズレータに対し、背中付近を通過する危険球を投じた。

 故意投球と思ったズレータは激怒してマウンドに突進すると、セラフィニにヘルメットを投げつけ、襲いかかった。セラフィニも負けずにカウンターで頭突きを食わらせる。額に返り血を浴びた姿は、まさにプロレスのデスマッチさながら。

 両軍ナインの乱闘が始まると、ベニーもセンターから駆け付け、仲裁に入ろうとしたが、大混乱のなか、バトルの巻き添えで倒されてしまう。さらにズレータに左肩を蹴られ、まさに踏んだり蹴ったりだった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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