一方、要介護は「一定の期間(※)継続して常時介護を要すると見込まれる」という状態です。要介護認定を受けることで、施設に入居しての介護サービスや、自宅での居宅介護サービスを受けられます。要介護者、要支援者が受けることのできる具体的なサービス内容としては、訪問介護や訪問看護、通所介護、通所リハビリテーションなどが挙げられます。

 これらに加えて要介護者の場合は、特別養護老人ホームなどでの施設サービスや定期巡回・随時対応型訪問介護看護も利用できます。

 これら要介護度に応じて、介護保険からサービス利用料が保障されるのです。その額は最大となる「要介護5」の段階で月額36万2170円になります。

※一定の期間=厚生労働省令で定める期間で、原則6カ月

●要介護度の7段階
【要支援1】
基本的な日常生活はほぼ自分で行えるが、要介護状態にならないように何らかの支援が必要。

【要支援2】
要支援1の状態より基本的な日常生活を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要。

【要介護1】
立ち上がりや歩行が不安定。排泄や入浴などに一部または全介助が必要。

【要介護2】
一人で立ち上がれない、歩けないことが多い。排泄や入浴などに一部または全介助が必要。

【要介護3】
一人で立ち上がったり歩いたりできない。排泄や入浴、着替えなどに全介助が必要。

【要介護4】
日常生活を送る能力がかなり低下。入浴や着替えの全介助、食事のときの一部介助が必要。

【要介護5】
意思の伝達がほとんどできない場合が多い。日常生活全般にわたって全面的な介助が必要。

●要介護度ごとの支給限度額(月額)
【要支援1】            5万320円
【要支援2】            10万5310円
【要介護1】            16万7650円
【要介護2】            19万7050円
【要介護3】            27万480円
【要介護4】            30万9380円
【要介護5】            36万2170円

※支給限度額を超えた分は全額自己負担となります。ただし、施設入所者には、支給限度額は適用されません。またサービス内容の1~3割の自己負担があります。

 介護に関する社会保障は幅広く、種類も多くあります。次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年10月1日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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