そんな武闘派ぶりは、“紳士の球団”巨人移籍後も健在だ。19年5月24日の広島戦(東京ドーム)。2点を追う7回1死一塁、代打で登場した中島に対し、一岡竜司の初球、145キロが頭付近へ。背を向けるようにして避けたが、ボールは中島の左肩を直撃したあと、頭部にも当たり、ヘルメットが脱げ落ちた。

 激昂した中島がマウンドに向かおうとすると、捕手の會沢翼や有隈昭二球審が止めに入り、両軍ナインが本塁付近で押し合いへし合い。一岡は危険球で退場となった。

 大事をとってベンチに下がった中島だったが、脳震盪の兆候はなく、試合後は「全然大丈夫です」と余裕だった。

 オリックス時代の17年にも、練習中に5階席から落ちてきた角型の鉄パイプが当たり、右腰から首にかけて打撲傷を負ったが、9日後にスタメンで実戦復帰。武闘派の名にふさわしいタフネスぶりと言えるだろう。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球 を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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