ヴィンテージの価値が出るタワマンはどれだ?写真はイメージ(C)朝日新聞社
ヴィンテージの価値が出るタワマンはどれだ?写真はイメージ(C)朝日新聞社
代官山駅の北側にそびえる「代官山アドレス」(C)朝日新聞社
代官山駅の北側にそびえる「代官山アドレス」(C)朝日新聞社

<前編:タワマン嫌いの住宅ジャーナリストが認める「ヴィンテージタワーマンション」5選【新宿、池袋、湾岸エリア】から続く>

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 私はタワーマンションという住形態には疑問を持っています。タワマンの利点は、限られた敷地に多くの床面積が確保できること、上層階からの眺望と開放感くらいしかありません。それゆえ、住宅ジャーナリストとして、タワマンを尊ぶ心は持ち合わせてはいません。

 とはいえ、タワマンにはそれなりの魅力があることも事実です。私は東京のマンションを隅々まで見て回ることを仕事にしていますが、厳しい視点で眺めてきたタワマンの中でも光る物件がいくつかありました。ここでは、私が「ヴィンテージタワマン」に当選確実だと思う物件を紹介します。なお、掲載順に特別な意味はありません。

■白金タワー
分譲会社/住友商事、三井物産他
南北線 「白金高輪」駅 徒歩1分
全581戸 2005年9月築 42階建て 複合開発

 このマンションは複合開発です。地元でご商売をされていた方などが再開発組合を形成して、長い間の話し合いの末にこのマンションの開発にこぎつけた、と私は理解しています。私が今の仕事を始めたころ、このマンションの管理組合で理事長をなさっている方からご連絡をいただきました。以来、4回ほどこのマンションを訪問をさせていただきましたが、毎回、その管理レベルの高さには驚かされます。

 直結している地下鉄の「白金高輪」駅が開業したのは2000年の9月です。マンションの竣工はその5年後。まだ新しい「白金高輪」という駅に直結しているとはいえ、当時は立地のマイナー感は否めませんでした。しかし、見事に完売しました。

 立地のよさもさることながら、このマンションで特筆すべきは行き届いた管理体制です。前出の理事長は、その手腕を大いに発揮してさまざまな改革に着手し、共用施設を収益化しました。そして、今や大規模修繕を何回もできるほどに組合財政を豊かにしました。それでいて、いまだに大規模修繕工事を実施していません。なぜならば、管理状態のいい物件であれば、億単位の費用がかかる大規模修繕はむやみに行わなくてもいいことをご存じだからです。

 既成概念や固定観念にとらわれずに、何十年も先の未来を見据えたマンション管理をする。こういうマンションなら、100年の風雪にも耐えて、その資産価値を維持できそうです。

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築20年でも色褪せない資産価値