■パークコート千代田富士見ザ タワー


分譲会社/三井不動産レジデンシャル
総武線 「飯田橋」駅 徒歩3分
全505戸 2014年3月築 40階建て

 JR中央線の「飯田橋」駅の南側というのは、基本的に昔の江戸城の「城内」になります。こういう場所は、土地の権利が細分化されていないことが多く、大きな公共施設があることが多い。このマンションの近くにも逓信病院や警察病院があります。法政大学や靖国神社も、同じエリアと言えます。

 また、このマンションの通りを隔てた向かいは、外堀公園。山手線の内側ではもっとも美しい散策の小道ではないでしょうか。村上春樹の代表作「ノルウェイの森」でも、主人公が長い散歩をする場面があります。このマンションの立地は、そういうバックグラウンドを持っているのです。

 新築販売時の平均坪単価は450~480万円くらいだったと記憶しています。当時としては「高い!」と感じましたが、中古マンションとしての今の実勢価格は坪単価700万円超。かなりバブルが入っているお値段になっていますので、今後はコロナ不況で価格は落ち着いていくと思います。

 このマンション、立地は抜群なのですが、私は建築精度にやや不安を持っています。何年か前に私のところへ別のマンション購入で相談に見えた方が、この物件に賃貸居住されていました。家賃は月額60万円。「隣の住戸のくしゃみの音が聞こえるのですよ!」と、そんな不満をおっしゃっていました。

 とはいえ、この立地でのマンション供給は本当に限られています。このマンションも建築精度の不安を除けば、資産価値はかなり底堅いものがあると思います。(文=住宅ジャーナリスト・榊淳司)

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