ともあれ、こういう場所のマンションは10年に1度出るかどうか。希少性は抜群です。実際、最近10年で周辺エリアの大規模物件はこのマンションだけです。新築販売時はリーマンショック直後の大不況でした。それでも、建物が完成するまでには完売していたと記憶しています。このマンションの資産価値がわかる人にはわかるのです。

 こういう物件であれば、老朽化しても始末に困ることはありません。相続で子孫に残しても、大喜びされるはずです。常に富裕層が所有し、居住しているのがこのタワマン。資産価値は折り紙付きと言っていいでしょう。

 私がみている範囲では、1年に取引されるのはほんの数戸だけ。価格も坪単価600万円台から800万円台。新築時の2倍近くまで値上がりしています。今後、コロナ不況によって多少の値下がりはするでしょうが、日本経済がそれなりに回っている限り、日本ではトップクラスの資産価値評価を受け続ける物件であるはずです。

■富久クロスコンフォートタワー
分譲会社/野村不動産他
丸ノ内線 「新宿御苑前」駅 徒歩5分
全1,231戸 2015年5月築 地上55階 地下2階

 2013年頃に新築販売されていた時には、タレントの小泉今日子さんをイメージキャラクターとして起用するなど気合の入った販売をしていました。今から思えばかなり割安で、平均坪単価330万円という価格設定でしたが、あの当時としては売り主側に「1231戸を売り切れるか」という危機感があったのでしょう。

 実は、このマンションの周辺にはここよりも古いタワマンがいくつかあります。2013年当時の流通価格は坪単価200万円台の半ばでした。そこから考えると坪330万円はチャレンジ価格だったのでしょう。

 現在の流通価格は、坪単価400万円台が中心。平均すると3割程度は値上がりしていることになります。

 実は東京メトロ・丸ノ内線の「新宿御苑前」駅の近くで、新築マンションが販売されるのは珍しいこと。今でも年に3物件も出るかどうかです。周辺の街並みはかなり庶民的で、高級感を感じるようなところはありません。しかし、山手線の内側であり新宿に近い場所。交通利便性はかなり高いと言えます。あと、複合開発なので、敷地内に大きなスーパーがあるのも資産価値には好影響です。

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区役所が入っているという強み