湾岸エリアのタワーマンション(C)朝日新聞社
湾岸エリアのタワーマンション(C)朝日新聞社

 私はタワーマンションという住形態には疑問を持っています。タワマンの利点は、限られた敷地に多くの床面積が確保できること、上層階からの眺望と開放感くらいしかありません。中にはプールや大浴場、スポーツジムなどの豪華施設をタワマンの優位点だという主張もありますが、それらは限られた利用者にとってのメリットでしかありません。利用しない人にとっては、ただ費用負担がかさむだけのシロモノです。

【写真】湾岸タワマンの暴落の引き金になりそうな「いわくつきマンション」はこちら

 制度的にも建築技術的にも、私はタワマンはかなり完成度の低い住形態であると考えています。それゆえ、住宅ジャーナリストとして、タワマンを尊ぶ心は持ち合わせてはいません。

 とはいえ、タワマンにはそれなりの魅力があることも事実です。その寿命が50年程度だとしても、それまでの時間は人々をそれなりに幸せな気分に浸してくれるであろうことも理解しています。私は東京のマンションを隅々まで見て回ることを仕事にしていますが、厳しい視点で眺めてきたタワマンの中でも、「これはちょっとええかいな」と思った物件がいくつかありました。ここでは、そういうタワマンを選んで紹介します。私の中では「ヴィンテージタワマン」に当選確実な物件です。掲載順は思いついた順番であり、特別な意味はありません。

■勝どきビュータワー
分譲会社/ゴールドクレスト他
大江戸線 「勝どき」駅 徒歩1分  
全719戸 2010年11月築 55階建て

 このマンションは東京メトロ大江戸線「勝どき」駅から徒歩1分で、直結しています。直結というのは駅の構内とマンションの建物が直接つながっていることをいいます。「駅徒歩1分」でもいったん歩道に出なければいけない時は、直結とは言いません。そういった意味で「直結」と「徒歩1分」には微妙な違いがあります。

 他の物件に比べての優位点は間違いなく「駅徒歩1分」で、しかも「直結」であること。現地に行けば分かりますが、勝どきの交差点の角に立っています。とはいえ、セットバック部分がオープンスペースになっているので、交差点に対する圧迫感はさほどでもありません。

次のページ
10年に一度出るかどうかの希少な立地