早速、伊藤さんはパパ活アプリに登録し、パパ候補の男性へ「いいね!」を押していった。スペック重視で選んでいたので、パパへのアプローチは10人くらいに抑えたという。

 ただ、実際にアプリを使ってみると想像と違うこともあった。ネットなどの情報から、パパ=落ち着いた年齢の紳士的な男性というイメージを持っていた伊藤さんは、想像以上に若い年齢のパパが多いことに驚いたという。

「パパ活のはずなのに恋人募集とか見ると、がっかりしました。私の目的はお手当ではなく、経験談から得られる学び。パパとの会話がかみ合わなくて……。体の関係や愛人探しばかりで疲れちゃいました」

 そんな状況ではあったが、わずかな期待を求めて、伊藤さんは尊敬できるパパ探しを続けた。

「私自身、コロナで先が見えない毎日が不安でした。だからこそ、普段以上に学習意欲が高かったんだと思います」

 しかし、マッチングはするものの、伊藤さんが求めるようなビジネス経験が豊富なパパとはなかなか出会えなかった伊藤さん。中には年収や社会的地位も高くない“普通のおじさん”も多かった。

 かなり難航したパパ活ではあったが、ついに、伊藤さんは1人のパパと食事に行く約束をとりつけた。男性は50代の会社経営者。オシャレなイタリアンレストランを予約してくれたが、正直、伊藤さんの収入でも十分に行けるクラスだったという。伊藤さんとしては、将来のビジネスにつながる体験談を聞けると思っていたのだが……。

「話題のメインは男性のパパ活事情について。『お気に入りの女の子には高額なプレゼントをした』とか『言い寄られて困る』などの自慢ばかりでした。自慢話ほどつまらないものはないですよね。正直期待外れで、私の求めていたものではありませんでした」

 ほんの少しビジネス絡みで聞けた話は、どこかで既に聞いたことがあるような内容ばかり。普段から学習意欲のあった伊藤さんからするとつまらないものだったそうだ。

「『メモは重要』、『多くの人に会って刺激を受けなさい』とか……。薄っぺらいアドバイスにがっかりでした」

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「パパ活に夢を見過ぎていたのかもしれない」