放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、主演映画が話題の草なぎ剛さんについて。

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 草なぎ剛君主演の「ミッドナイトスワン」が公開され、話題になっています。簡単なあらすじだけ書きますと、故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙(なぎさ)を草なぎ君が演じます。そんな凪沙のところに、ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果がやってきて、預かることになる。
理解し合えない、しようとしなかった二人だが、一果がバレエと出会ったことにより、変化が起き始める。そんな物語。

この映画を見て、胸が苦しかったし、辛かったし、何よりとてつもなく素晴らしい映画だと思った。そして同時に思いました。「来た!!!!」と。

 稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾の3人が「新しい地図」としてスタートして3年。僕はずっと期待していました。待っていました。草なぎ剛が役者として大きなホームランを打つ日を。絶対に来ると思っていたからこそ、この映画を見て「来た!!!」と思った。

 僕はSMAPと色々とお仕事させていただいたこともあり、僕的に草なぎ君が大きな変化をした瞬間を何度か目撃してきました。僕的な最初は、草なぎ君が舞台「蒲田行進曲」に出演した時。彼のあれ以前・あれ以降はお芝居の仕方もまったく違うし、芝居に望む気持ちも大きな変化があったはずです。僕が人生で見た舞台でいまだに一番「震えた」舞台です。

 そのあとは、ハングル語を覚えた時。TMCというスタジオ。スマスマの収録中だった時に、マネージャーさんと僕が喫茶店で話していると、草なぎ君がいきなりやってきて「韓国語を覚えて、韓国で勝負したいんだけど」と言い始めました。当時、日本では韓流ブームも来てなかった。今ほど韓国映画も注目されてない中で彼が突然言い始めて、それから3カ月以上、猛勉強をして、収録中に、日本語話してるのか、ハングル語話してるのかわからないくらい勉強してマスターした。あのときの狂気ともいえる気合い。あのときも大きな変化だった気がする。そしてドラマ「僕の生きる道」。あそこにも大きな変化があった気がする。
もちろんもっとあるのだと思いますが。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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疑似親子の作品を、なぜ演じられたのか