川口氏自身もグリッツ社員ではなく、ボランティアで関わっている。本業はNHKの人気ドラマ『エール』の広報展開プロデューサーとして活躍。プロ中のプロを引きつける魅力がグリッツにはある。

 13分過ぎに歴史は動いた。松渕雄太のシュートがアイスバックスのゴールに突き刺さる。グリッツがアジアリーグ・メンバーとなってからの初ゴールだった。

 まだまだ準備段階のため、会場設置のビジョンなどを使用した大規模な場内演出はなかった。しかしその瞬間、会場内は大きな拍手に包まれた。多くの人々の思いが結集したゴール、何よりも気持ちの伝わるセレブレーションだった。

「これが目標ではなく、一歩一歩チームに共感してくれるファンを作ることが自分たちの使命だと話した。これが本当にスタートなので、これからしっかり走っていきたい。近いうち勝利をお見せできるように精進します」(浅沼芳征監督)

「GRITS」とは「やり抜く力」。

 1つのゴール、1つの勝利を目指し、これからもやり抜いて欲しい。

 横浜グリッツ、大いに注目したいクラブだ。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。