Twitterを始めて3カ月後にはフォロワー数は3万を超えるまでに。「どうやったらバズるの?」と社内外から相談を受けるようになり、Twitterがきっかけで、切ないエピソードをまとめた本も出版されるまでになった。サノ氏は言う。

「多くの切ない経験をしてきたことで、何の仕事をしても、どんな失敗をしても、なんとか食いつないでいけるだろうという自信がつきました。僕の人生は変化の連続で、変化を力に変えてきた。悲しい出来事もたくさんありましたが、災難への耐性がついた。失敗や災難を前提に生きているので、失敗を恐れず前に進めるのだと思います」

 まさに今、コロナ禍で世界中の人が「日常」を奪われ、迷い、悩んでいる。サノ氏の壮絶な生き方は、そんな現状を“突破”するヒントにもなるのではないか。

「コロナそのものをポジティブにとらえようとは思いませんが、先が見えないことって、チャンスでもある。(仕事や生活など)ゲームのルールが一変するので、僕のような『持たざる者』にとっては、逆転するうってつけのタイミングだと思います」

(取材・文=AERAdot.編集部・飯塚大和)