井上咲楽(C)朝日新聞社
井上咲楽(C)朝日新聞社

 アメリカ大統領選挙では人気歌手がトランプたたきをしたり、欧米のアーティストや俳優は支持する政党や人物の名を声高に口にすることは日常的なこと。日本の芸能界ではこれまで、政治的発言はタブーとされてきたが、SNSの浸透などが後押しし突発的に感想をつぶやく芸能人も多く、一般人の目につくことも多くなった。

【写真】キャスターとして活躍しているホラン千秋さん

「70年代くらいまではミュージシャンが政治的な歌を唄って数多くの論争の火種になったり、物議を醸すことも多かった。しかし、80年代以降はミュージシャンもテレビ出演がメインとなり、政治発言も少なくなっていきました。ところが現在、SNSが発達したせいで、テレビには出ていないけどファンの多いアーティストの発信力が高まり、彼らがネットで政治的な発言や活動を活発化させていったんです。これに伴って、交友関係がある芸能人もつられて政治的なことを言うようになったという側面があります」(大手芸能プロ幹部)

 いずれにせよ、激動の時代において政府の政策や芸能人の不祥事、ネット炎上など毎日ニュースに事欠かず、それに対してどうコメントしたかがコンテンツ化する世の中で、昨今の芸能人はかなり微妙なバランス感覚が求められている。こうした中、圧倒的な存在感を示しているのがホラン千秋だ。

「ホラン千秋さんはある時期からバラエティの露出が減って、報道・情報番組に絞って活動をしています。TBSの『Nスタ』ではキャスターをつとめ、この秋には『バイキング』が放送時間を延長することに伴い、レギュラーを卒業しています。同番組を退いた理由はいろいろな声もありましたが、いずれにせよ若い頃から報道系に絞っていて、いまやキャスターとして定着しつつある。彼女のような花があり、的確なコメントができるタレントがあまりいないので、今後さらなる活躍が注目されますね」(放送作家)

 こうした中、「ポスト・ホラン千秋」とテレビ業界で名前が上がっているのがタレントの井上咲楽(21)だ。

「9月に放送された『アッコにおまかせ!』で、政局に対してズバズバ意見を言ったことで知名度が一気にあがりました。まだ若いのに、安倍晋三前首相が退任を表明し、自民党総裁選が話題になる中で、総裁選の情勢をズバズバと指摘。今後の人事について注目しているなどと発言していました。彼女はこの放送の直前にも経済メディアで政局についてインタビューを受けており、若者の観点から政治参加について言及していた。注目度があるタレントではないですが、同じ事務所の先輩である小島瑠璃子も、池上彰氏の選挙特番で見事な切り返しをしているので、社会派のタレントを育てていく方針なのかもしれません」(民放バラエティ制作スタッフ)

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趣味は国会傍聴、大物政治家のインタビューも