なでしこリーグの状況変化は、東京オリンピックで再起を図るなでしこジャパンの編成にも影響を及ぼしてくるのではないだろうか。女子W杯と東京五輪が別の大会であるように、2020年夏のベストチームが、2021年夏のベストチームであるべき理由もない。「チームは生き物」と語る高倉麻子監督のチームなら、フランスへ行けなかったメンバーが加わってくる可能性も高まる。

 夏場の日本開催を考えれば「複数ポジションをこなせる」ことが第一条件になるだろう。実際、女子W杯までフォワード、サイドハーフで起用されていた遠藤純(日テレ)は、昨秋以降、サイドバックでも試されている。この逆ルートを描けば、前述した浦和の清家、高橋や、どの高さでもマッチアップ相手の脅威になる北村菜々美(C大阪堺)が浮かぶ。さらに、2列目へポジションを上げて、ゴールへの脅威が増した浦和の猶本。センターバックとボランチでの併用で、プレーの幅が広がっている松原有沙(ノジマステラ神奈川相模原)らも存在感を増している。

 いわゆる「ゾーン」へ入ったストライカーにも、滑り込みの資格があるだろう。フランス落選組で言えば、移籍後も11試合で8得点とチームメートを選ばない活躍を見せる田中美南が、最右翼だ。年代別代表で得点王にも輝いた上野真実(愛媛FCレディース)、韓国のWKリーグからなでしこリーグへ戻った池尻茉由(マイナビベガルタ仙台レディース)らも、ラージグループでサバイバルを続けている。

 個人的には、メンバー構成が大幅に変わったアルビレックス新潟レディースで、相手の最終ラインを食い破り、移籍初年度からゴールを量産している児野楓香の嗅覚に期待したい。高倉監督が指揮する2014年のリトルなでしこで、決勝戦(サッカーU17女子ワールドカップ)のダメ押し点を決めたストライカーである。I神戸戦で逆転ゴールを奪った直後の負傷退場はとても心配であるが、オリンピックまでにワンチャンス欲しいところだ。

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WEリーグ創設で更なるレベルアップに期待