一方、2015年シーズン以降、なでしこリーグ5連覇中の日テレ・東京ヴェルディベレーザは、8月半ば以降の4試合で25得点をたたき出したが、その後、連敗を喫し、勝ち点差では浦和に大きなビハインドを背負った。昨季の得点王・田中美南(→I神戸)、籾木結花(→レイン/アメリカ、現在はリンシェーピング/スウェーデン)が、活躍の場を外に求めた。さらにシーズン途中で清水梨紗、土光真代もケガで戦線離脱。小林里歌子、長谷川唯らがゴールを目指す気迫は、常勝チームのそれ。悪条件を克服し、大逆転を演じられるか。

 今季からJリーグでも指揮を執ったゲルト・エンゲルス監督率いるINAC神戸レオネッサは、時間が足りていない。体制変更で起用選手も変わり、熟成度で劣るのは仕方がない。日テレから獲得した田中美南は、古巣との大一番で勝利につながる先制点を奪うなど期待通りの働きをしているが、チーム全体では11試合で17得点。昨季は18試合で28得点だから、課題は完全に解消していない。ゲームの組み立てにもエネルギーを使っている岩渕真奈が、ゴール奪取へ専念できるようになれば、状態は上向くと思われるが……。

 そして、開幕からの4連勝で、なでしこリーグへ新風を吹き込んだのが、今季から1部に復帰したセレッソ大阪堺レディースだ。二十歳前後の選手がほとんどのチームで、もともとパスワークやテクニックは光っていた。2年前の苦戦は、完成された大人のアスリートにフィジカル差でねじ伏せられた感があった。そこでヒケをとらなくなったことも、躍進につながっているのではないか。

 昨年の女子W杯で追加招集され、フランスのピッチに立った宝田沙織や、年末のEAFF E-1サッカー選手権で代表デビューした林穂之香は、世界を意識させる。1部復帰後も得点を積み重ねている矢形海優。16歳とは思えない落ち着きでゴールを陥れる浜野まいかなど、枚挙に暇がない。竹花友也監督の下、しっかりとした選手育成を続けてきたチームが、「なでしこリーグは、もはや『3強』だけでない」ことを証明している。

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今後、日本代表に入ってきそうな若手は?