「マウンド上での表情を見ていると余裕を感じるというか、喜怒哀楽を表すようになった。巨人時代は1球ボールになるだけで顔が引きつる感じでだった。指にかかり過ぎた時など、笑顔で捕手に謝ったりする。マウンド上でのゆとりが好結果につながっているのではないか」(パ・リーグ球団スカウト)

「融通が効かず頭まで筋肉でできている」と揶揄されたこともあった。「コーチなど周囲の意見を聞かない」という悪評も流れ、巨人晩年は周囲も腫物に触るような雰囲気もあった。

 しかしロッテ関係者は加入を温かく歓迎した。チーム状況も良くリーグ優勝を狙える位置にいる。何度も栄光を知っている澤村に対して、大きな期待がかけられている。

「誰とでも気さくに接し裏方さんにも積極的に話しかける。若手とはトレーニング方法などを教えあっているのを見かける。吉井コーチを中心に投手陣はコミニュケーションを大事にしているから、溶け込みやすかったのだろう。楽しそうに野球をやっているのがわかる」(ロッテ球団関係者)

 そしてファンの優しさも澤村の支えになっている。かつてロッテファンは澤村に対しては“シビア”で、交流戦では辛辣なヤジも飛んでいた。それが今や『優勝への使者』とも呼ばれている。

 不甲斐ない投球を見せ続けられた巨人ファンからは不要論も出ていた。しかし、いなくなった途端に『巨人・澤村』グッズを買い漁り、商品の多くが完売状態になった。

「初登板では自身の『57』のユニフォームが間に合わず、福嶋明弘・打撃投手の『106』を着用。その背番号Tシャツを販売して欲しいという声もあった。鳥谷敬の時と同様、個人グッズ販売の問い合わせが殺到。移籍からまもなく1カ月経つがグッズ売上はチームトップクラス。やはり澤村の知名度がいかに凄いかがわかる。うちのファンは選手に対しての愛が強い。結果が出ればチームの顔になることも考えられる。戦力、営業の両面で期待している」(ロッテ球団関係者)

 本人が気持ち良く野球ができ、ファンも大きな声援を送っている。ここまでは移籍のプラス面しか感じられない。問題は今後結果を残せるかどうかだが、まだまだ不透明だ。

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