巨人からロッテに加入した澤村拓一(画像は千葉ロッテマリーンズからの提供写真)
巨人からロッテに加入した澤村拓一(画像は千葉ロッテマリーンズからの提供写真)

 ロッテ澤村拓一の周辺が盛り上がっている。

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「優勝への救世主」「復活を信じていた」と周囲は騒がしい。移籍後の出足は好調に見える豪腕だが、完全復活を果たせるのだろうか。

 9月7日、澤村のロッテへの電撃移籍が発表された。今季は開幕から不安定な状況が続き、大学の先輩でもある巨人・阿部慎之助2軍監督の判断で8月には3軍降格も経験。時間をかけて1軍復帰を目指すと見られていた中での移籍劇だった。

「両球団の思惑が一致したトレード。巨人は独走状態で目標は日本シリーズ制覇。復調まで時間がかかりそうという判断で、期間を定めずにファームへ預ける予定だった。そこへリーグ優勝を狙える位置にいるロッテ側から打診があった。直接対決は日本シリーズまでない。環境を変えるなど、本人の今後のためにも素晴らしい移籍だったのではないか」(巨人担当記者)

 10年オフのドラフト1位で巨人へ入団し、11年に新人王、16年にはセーブ王にも輝いた。投手としての能力は誰もが認めるところだったが、特徴の『荒れ球』を近年は制御できない状態だった。またグラウンド外のトラブルも多く『問題児』のレッテルも貼られていた。

「巨人では半ば戦力外でしたが、ロッテでは井口資仁監督、吉井理人投手コーチ好みで評価は高かった。メジャー経験者の2人は、ブルペンにパワー系投手がいることの強みをよく知っている。澤村は日本で有数の本格派なので、戦力として大きな期待をしている」(ロッテ担当記者)

「限界か」という声も聞かれたが、移籍を機会に追い風が吹き始めた。周囲からも好意的で温かい視線を注がれ、プレーにも好影響を与えノビノビ投げているように見える。

「150キロ超えのスプリットは途中まで真っ直ぐと同じ軌道で打者は見極めにくい。細かい制球力は求めずアバウトで良いのでゾーンに入れば、簡単には打てない。求められるものが明確になり、本人も開き直れるかもしれない」(パ・リーグ球団スカウト)

 基本的に球種は、真っ直ぐとスプリットの2種類。真っ直ぐは力があるから打ち損じてファールが取れる。そしてスプリットはチェンジアップ気味に使えて、空振りだけでなくバットの芯も外せる。

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移籍後にマウンドで感じる“ゆとり”